【自転車日本縦断旅】自転車ってそんな激レアアイテムでしたっけ【準備~出発 前編】
自転車で旅に出ようと思い立ち、出発まで残すところ1ヶ月弱。
進捗と言えば、旅をしようと決めた事だけ。
1ヶ月ありゃなんとかなるっしょ。知らんけど。
......とりあえず、何から手を付けようか。
長くなりそうなので、前編後編に分割しようと思う。
前編:自転車、自転車まわりの備品、荷物
自転車で入手困難とかある?
完全に舐めていた。自転車ぐらい、金銭面の都合さえつけば今日にでも入手可能だと、高を括っていた。
無論、そこら辺の自転車屋に展示してあるママチャリやロードバイクなら即買い可能である事は言うまでもない。しかし、今回狙いをつけていたヤツは少々コアな車種であった。
「ランドナー」という選択肢
知らなくとも無理はない。ロードやクロス、MTB等と比較し、この車種がファーストチョイスとなるようなケースは稀だからだ。
一言で表すならば『旅用自転車』。スピードは程々だが頑丈な作りである上に、荷台等の装着を前提としたダボ穴が付いている。詳細は良い感じにまとめられているこちらのサイトをご覧いただければ幸いです。
自転車の急速な進化の波に取り残された、どこか古臭く、良く言えばクラシックな雰囲気を纏うランドナーは、乗り手を自転車の固定観念から解放する。突出した強みは無くとも、速さを求めず、一人のんびりと長距離を進むにあたって最高の相棒となるのだ。
2022年3月上旬。早速、詰みかけていた。
完成車が手に入らない。ヤバい。
もはや発掘作業
上述の通り現在ではマイナーな車種となったランドナーは、完成車を取り扱うメーカーが絞られている。当然、取扱店舗も少なく、入手難易度が高いのも無理はない。
知識豊富な経験者であれば、パーツ単位でカスタマイズしたり、オーダーメイドで自分だけの一台を作ったりという事が叶うのだろう。しかし、情けない事にそれを実現するには圧倒的な時間不足であり、今旅においては完成車に頼る他無かったのだ。こういう局面で自由になれない自分にヘイトが積もる。
さらには、追い打ちをかけるかの如く襲い掛かるコロナ禍の影響。巣ごもり生活の反動による自転車需要の高まり、世界的ロックダウンによる部品生産・流通の停滞。たった数年で社会の在り方を根本から覆してきたコロナの影響は、自転車とて例外ではない。この影響は予想以上に凄まじく、ネットショップ含む多くのランドナー取り扱い店舗で殆ど売却済、また注文しても納品まで半年、場合によっては1年以上を要するような事態がザラに起きている絶望的状況であった。
もはやショーウィンドウの外から品定めできたものではない。これは発掘作業だ。あの頃目にしたネットコンテンツを令和の大海からもう一度掘り起こすかの如く、途方もない根気と強烈な惹き合わせが今まさに必要とされているという事実を悟ってしまった。
祈るような気持ちで、ひたすら探しまくる。ここは個人的に拘りたいポイントだったので、相棒を他の車種で代用するのは最終的な選択肢としてはあったのだが、それすら程遠くもない場所までじわじわと迫っていた。
『入荷しました!!』
とある大阪のサイクルショップHPに、爛々と輝く『只今入荷中!在庫あり』の文字。
見つけた。神様がデレた。
予算やサイズなど多少の懸念はあったものの、この機を逃せば後は無い。早速、試乗に出向いた。
ARAYA Federal 2021年モデル ダークモスグリーン 500mm
ランドナーの中ではビギナーモデルにあたり、今までママチャリしか乗ったことの無い身体でしっくり溶け込む感覚を得たのは順当な結果と言えよう。いかつ過ぎずまとまりの良いサイズ感のため、自分のような低身長・短足フォルムでも安心して乗りこなすことができる。
その場で即購入し、第一関門突破。最低限、旅には出られるようになった。
第一関門にしては険し過ぎやしませんかね。
今後どれだけの壁にぶち当たるんだか、知りたくもないし、知る由もない。でも不思議と心は軽かったような記憶がある。
4000kmの旅路を共にする相棒、大事にしよう。
肉付けとQOLと
とりあえず、購入した自転車は軽いノリで漕いで帰ることにした。
家まで片道60km、普段から距離走ってる人から見ればどうということもなかろうが、小野田坂道は架空の人物である事を忘れてはならない。身一つの無知な凡人が準備も無しにいきなり走るとなれば、想像以上に堪える距離だ。
見通しの甘さが露呈する。普通にバテた。身体の節々が痛い。危うくケツの大事な部分が取れてしまいそうになった。
装備、荷物それから身体的な面も含め、旅の準備は、限界への挑戦を主目的としないならば「生きていけるかどうか」を基準にすべきでない。準備に余裕が無ければ、当然ながら旅にも余裕は生じない。
分かっとるわ、とツッコミを入れられそうだが、意外とやりがちなミスのようにも思う。すなわち「意図的に」QOLを生み出す努力をすべきという事だ。後日談だからこういう事が書けるというのはあるが、旅で得た諸々の教訓はまた別記事にまとめておきたい。
装備品・荷物について
自転車への装備品および荷物の詳細については長くなるので、これも別記事にまとめておこうと思う。
先人の知恵を手当たり次第借り散らかし、とりあえず必要そうな物のリストを作成。
ちなみに、リュック以外の全ての装備品および荷物はネット通販で取り揃えた。
暴力的なまでの利便性に恐怖すら覚える。amaz〇n様様ですわね。
以下、主要な点のみ箇条書きで記載する。
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・ライト(前後)、ベル、反射板は法律上必須なので忘れずに!
・購入時に泥除けが付いてない場合は装着することを強くお勧めします
・スタンドは荷物の重みに負けてしまうので取り外しました。自転車を置く際はどこかに立てかけるようにしていました
・防犯の観点からカギは2種類持って行きました (U字タイプ、チェーンタイプ)
・自転車に後付けしたのは以下の4つ
‣リアキャリア(後部の荷台)
‣エクステンションバー
‣ドリンクホルダー
‣携帯用空気入れ装着用の土台
・バッグは4つ
‣サイドバッグ × 2 (リアキャリアの両サイドに引っ掛ける)
‣フロントバッグ × 1 (ハンドル部分に無理矢理装着*1 )
‣リュック × 1 (背負ってましたが体力消耗するので基本的におすすめしません)
・エクステンションバーへの装着物は以下の4つ
‣ライト
‣ベル
‣スマホホルダー
・テント、銀マット、寝袋の3点はリアキャリアに積んでヒモで固定してました
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上の写真をご覧になって、どのような印象を抱くだろうか。
大層な荷物どすなあと思われる方もいらっしゃるだろうが、個人的には割とコンパクトにまとまったかなと思っている。人によって持ち物は当然変わってくるので、さらに荷物を装着するのであれば、フロントキャリアの取り付けは必須だろう。
また、荷物の大半が自転車の後部に集中する積み方をしているが、実はあまり良い積み方とは言えないらしい(旅の途中で立ち寄ったサイクルショップのオーナー談)。どうせなら前部に荷物を集中させたほうが、自転車のバランス的にもコントロールの取りやすさ的にも良いと仰っていた。参考までに。
...あれ?何か足りなくない?
自転車旅やバイク旅に興味のある方、以前されていた方であれば、上の写真にちょっとした違和感を抱く方も居るのではないだろうか。
『日本縦断中』の看板つけないの?
そう、看板だ。今自転車で旅してますよ~の看板。出発何日目、とか各種SNSのアカウントIDとか書いたりしてるやつ。
旅の道中でも何度か聞かれた質問だ。結論から言うと、最初から最後まで看板は掲げなかった。
逆張りではない。また看板の存在に対して否定的な感情は一切ない。
1つには、外部への発信を目的とした旅ではなかったこと。
2つには、人との関わりを自発的に求めにいく予定ではなかったこと。
粛々と波風立てずに旅を遂行し、そしてこの旅の経験は自分の胸中に丁寧に閉じておこう、という心づもりであったので、看板は掲げず旅を行うことに決めた。
まあ、結果的には旅を通じて様々な人との素敵な関わり合いを経験し、またこうしてブログの形で旅のあれこれを発信しようとしているのだから、不思議な因果を感じずにはいられないけれども。
自由であるからこその旅だ。その点を上手く落とし込めさえすれば、看板の有無は大した問題ではないだろう。
さて、大方必要な物は揃ったかな。足りなければ道中で買えばよろしい。
あとやるべきことは大まかなルート決めと、それから...
後編へ続く。
*1:アラヤフェデラルは補助ブレーキレバーが付いている関係でフロントバッグがかなり装着しにくいです。半ば無理矢理ですが装着可能なフロントバッグは有るっちゃ有りますし今回はそれを使っていますが、どう足掻いてもブレーキワイヤーや泥除け等との干渉を避けられないので正直おすすめできません。フェデラルへ適切にフロントバッグを装着する為の対処法としては、補助ブレーキレバーの角度を変える、もしくは取り外すぐらいしか無いかと思われます