旅の備忘録

自転車日本縦断とかいろいろ

【自転車日本縦断旅】実家の床でゴロゴロしてる時間が一番落ち着く【出発前】

胡麻です。

2022年4月7日~6月12日の2ヶ月少々の期間をかけて、自転車で佐多岬(鹿児島)→宗谷岬(北海道)間合計4196kmを走り抜いた旅の記録を、忘れないうちにちまちまと残していきましょうという話。

旅するより記録残すほうがハードル高いかもしれん。深夜に酒でも入れないと文章書けません。1記事完成する度に誰か褒めてください。

今後、自転車で日本縦断(ないし日本一周)を計画されている方、計画はしていないけどやってみたいな~と思っている方、旅ログを眺めるのが好きな方、その他諸々、ここへ辿り着いた方々にとって何か足しになる事が書き残せたら良いかなと思います。

 

 

 

どういう風の吹き回し?

2022年2月。

大学の卒業要件を無事に満たし、国家試験もやっとの思いで乗り切った。長きに渡る学生生活が幕を閉じようとしていた。

コミュニティの最下端へブチ込まれては、日を追う毎に不本意にも立場が上がり、やがては追い出され、只管これを繰り返し続けてきた。

気が付けば次の舞台は社会、言うなればオープンフィールド。現実は一人称視点で完全固定されている、という点ではバーチャルと異なる。

一人称視点は厄介だ。周囲を見渡すにも、自身の内面を覗こうにも、不完全だ。

何もかも知らない事ばかりでここまで来てしまった。知る為の手段すら無知に等しい。無知である事を自覚する瞬間ほど不安に駆られる時はない。そのような心的状態で25年、もう直に26度目の誕生日を迎えようとしていた。

半ば諦めに近い感情がグルグルと渦巻いていた。考える事を放棄してしまえば当然楽になれる。元来、物理的にも精神的にも出不精な所があるので、結局一番落ち着くのは実家の御飯を食べ、風呂に入り、床に張り付いている瞬間だった。

 

 

少しばかり、考える時間が出来た。

内定先が一部導入している秋入社制度を、勢いのままに活用する事にした。これにより、入社まで約半年弱のフリータイムが生じた。

ひょっとすると順序が逆だったかもしれないし、内定先の本意とは少々異なるかもしれない。根拠も無い。ただ、自分にとって必要な自由時間であるような気がしてならず、直感的な選択に身を委ねる事にした。

 

旅をしよう。旅行は昔から好きだったし、これまでにも迷走気味な時は突発的に一人旅をする事は度々あった。

半分は、趣味としての感覚。気の向くままに景色を求め、文化に触れ、食を堪能する。

半分は、着地点を探す感覚。自身を理解する手掛りを、外部環境や他者に求め委ねる。

健やかな生活の為にはクールダウンの手段を誰しも必要とし、自分にとってそれは「旅をする行為」そのものだった。それは往々にして煮詰まった頭に浮かぶ余地など無いものだが、幸いにして趣味の側面がその点を補っていた。そして不思議なことに、たった数日のちっぽけな経験ですら等身大の中身スッカスカな自分を許容する余裕を形成し、自尊感を底上げするのだ。そこに例外は無く、まるで合法麻薬のようであった。

道標となるような旅をしよう。今回はいつもよりも少しばかり、腰を据えるつもりで。

 

 

「自転車」「日本縦断」というチョイス

旅と旅行を区別するならば、それは「自己意思の介入の強さ」の差だと思う。

旅の時間をどう過ごし、何を考え、先に何を見据えるのか、そこへ一層の厚みを持たせる事こそが、旅と旅行の境界線を作っているような気がする。

この厚みというのは、超砕けた言い回しで表現すると「自力でやったった感」とでも言えば良かろうか。無論、100パーセントを自力で賄うのは不可能だ。常に何かに支えられ、誰かに助けられて自己が成立している。感覚としては、免罪符のようなものだろうか。何も後ろめたい事は無いのだけれども。

 

その点において、「自転車」という選択肢は絶妙だった。車や電車、飛行機にはない自走という特徴がもたらす厚みと同時に、徒歩にはない疾走感、爽快感、小回りが利きかつ気ままな散策を可能とするサイズ感や適度な移動速度、そして荷台としての現実的な役割、これら全てが自転車には詰まっていた。

急いてしまえば本末転倒だが、旅に使える日程を逆算すると、多く見積もって3ヶ月。趣味として好奇心に行動を委ねるにしても、着地点を探す旅の意義を満たすにしても、この限られた時間で可能な全てを五感で受け止めてやろう。

自ずと出てきた答えが「自転車」で「日本縦断」というチョイスだった。

 

(本当は日本一周したかったんだけれども、それはまたいつか...)

 

 

イチからのスタートというより

昔から何かにつけて意気込みだけは立派だった。最近になってようやく、行動までの壁が低くなってきたような気がする。行動力と言ってしまえば聞こえは良いが、場合によっては無謀とも言えよう。

今回はどちらかと言えば後者寄りである自覚があった。荷物はおろか、マストアイテムである自転車すら手元に無い*1。そもそも自転車は通学用ママチャリしか乗った事がなく、それも長距離どころか中距離ライドの経験すら無い。1からのスタートというより、正真正銘ゼロからのスタートだ。4月頭に出発するならば、準備期間は1ヶ月も無い。

 

......とりあえず、何から手を付ければいいのかな。

 

次の記事【準備~出発】に続く。

 

 

*1:通学用ママチャリは京都市に撤去されてしまった。おそらく自分が悪い